【体験談】親知らずの恐怖
これは私自身が実際に体験した出来事です。
どうも最近体調が悪い。寝不足続きで体が重い。
気づいたら私は手術台の上に横たわっていました。
「すぐ終わる」と先生。
あぁ、始まる。
すこし心臓がドクドクと脈を速め、手が汗でじんわりと湿ってきます。
先生は手を洗い、備え付けの紙タオルを勢いよく引き抜きます。乱暴です。
「麻酔しまーす」
細い銀色の悪魔が、ヨダレを垂らしてこっちを見ているのが分かります。
『くぅっ』と声を漏らす私。
長い悪魔の尻尾が、歯茎の奥へ奥へと進んでいきます。
『ううぅ』
「周りにもしていきまーす」
『かにはにはに』
私の言葉はもう言葉では無く、入れ歯の取れた祖父の鳴き声のようなものでした。
キン、キン。金属と金属のぶつかる高い音。
もう私の歯茎に感覚はありません。あるのは だけ。
キュルーン。脳に刺さる回転音。
パキァパキァッ。飴玉が割れるときのような乾いた音。
ゴリィー。歯茎と歯を無理やり引き離します。
ピトゥ。舌の上に何か落ちました。
私は飲み込みそうになって『んへっ』
「いまとりますねー」
手術は終わりました。
横たわるようにして埋まっていた右下の親知らず。
この抜歯には苦戦したようですが、それ以外はあっさりと抜けました。
手術が思ったよりも安く、病院を出た私は近くの東急ハンズで6000円を使いました。
抜いた後すこし腫れましたが、一週間もすれば治りました。
追記:小顔になりました。